僕は――理不尽な会社で働いている。
僕の働く会社は、完全な女尊男卑が定着しているのだ。
同じだけ働いても女性が最初に出世するし、同じだけ頑張っても評価されるのは女性のほうだ。
そんな会社、辞めればいいのだけれど、僕には辞められない理由がある。
それは――
「ねえ、君。いつまでそうやって固まってるの?」
「ねえねえ、はやくやんなさいよぉ」
周りの女性が口々に囃し立てる。
その声には嗜虐的な響きがこもっており、この状況を面白がっているのは間違いなかった。
僕は、ネクタイだけの状態で宴会の席に立たされていた。
股間は隠していたが、それでも女性からの視線が刃のように突き刺さる。
宴席の端では、肩身の狭そうなスーツの男たちが、伏し目がちに僕の身体を見つめていた。
「はやくしないとぉ、君の写真、ばら撒いちゃうぞぉ」
「ねーねー、女の子の前でおちんちん見せて興奮する変態だってばれていいのぉ?」
そう声をあげたのは上司の女性たち。
そう、僕は彼女たちに写真を握られている。
それも、僕が彼女たちの前でオナニーしている写真を。
床がぐらぐらと揺れるようだった。
視界が歪む。
頭頂が痛い。
僕はもう、逆らえなかった。
手を大きく上に揚げて、股間を腰を左右に振る。
僕の、人よりも少しだけ大きなおちんちんが、左右にぶるんぶるんとゆれた。
「きゃーきもーい!」
「震えてるぅ」
「なにあれぇ」
降り注ぐ罵声が、僕の身体を更に熱くする。
喉はからからで、血管も膨張し、全身が炎上していると錯覚するほどだった。
女性たちが罵声をあびせかけながら手拍子を叩く。
そのリズムにあわせて、僕は腰を左右に振った。
徐々に、僕のそれが勃起していく。
心の中で何度も何度も勃つな、勃つな、と念じたけれど、それは虚しい祈りだった。
僕のそれは完全に勃起し、直立したそれは、まるでメトロノームの針のように左右に揺れ始める。
「きもーいきもーい!」
「勃起してんじゃーん!」
「変態! へんたーい!」
女性たちの罵声もより直接的なものへと変化していく。
もう彼女たちの顔を見ることはできなかった。
けれど、僕のそれはより硬度を増している。
僕は、女性たちの声が少しだけ、心地よくなってしまっていたのだ。