高校生のときの話だ。
当時僕は野球部で頑張っていて、たぶん人生で一番頑張った日常だったと思う。
僕たちの野球部はお世辞にも強豪とはいえなくて、けれど、甲子園まで後一歩というところまで来ていた。
もちろん、僕たちの頑張りもあったのだろうけど、監督の成果が大きかったように思う。
だから僕たちは監督にとても大きな恩義を感じていて、いつしか監督と一緒に甲子園に行きたいと思うようになっていた。
その日の試合は大接戦だったけど、なんとか勝利。
甲子園まで、本当に後一歩まで来れた。
夕方のこと、僕は後輩の女の子に誘われて遊びに行った。
その子は野球のみんなにとってはアイドルみたいなもので、個人的な誘いを受けたとき、僕はどこか優越感を覚えたのを覚えている。
けれど、それが間違いだった。
舞い上がった僕は、彼女に乗せられるままお酒を飲んでしまったのだ。
そしてその瞬間を携帯で撮影され……
彼女は笑った。
「先輩、お酒飲んじゃいましたね。
ネットにばらまいちゃおっかなぁ」
今ほどネットが発達してなかった時代だけど、彼女が何を言わんとしているのかはわかった。
もしも飲酒画像がばらまかれたら――僕たちは間違いなく甲子園に出られない。
これは僕だけの話ではなかった。
僕の身勝手な飲酒で、チームメイトの夢を、監督の夢を、諦めるわけには行かない。
「なんでもするから、お願いだ、見逃してくれ」
また彼女が笑い、そして言う。
僕は数年が経った今でも、彼女のその、悪魔のような笑みを忘れていない。
思い知らされたものだ。
彼女は僕に、僕たちに好意なんかもっちゃいない。
ただ踏み躙り、快感を得るための道具でしかなかったのだ。
僕はそれから、彼女の指示通りにオナニーをはじめた。
彼女の部屋の真ん中で、女の子の臭いに包まれながらちんぽを扱いた。
顔は熱く、胸は苦しくなり、自分の情けなさに涙が溢れてくる。
「せんぱぁい、なぁに、なきながらオナニーしちゃって。かっこ悪いです」
彼女の棘を含んだ言葉が僕に刺さり、耐え難い屈辱が僕の心をめちゃくちゃにした。
それでも手を止めることは許されず、僕は何も考えないようにしてオナニーを続けたのを覚えている。
そうして、僕は彼女の目の前で射精した。
その後彼女の連絡先を渡された後――
僕の屈辱は、これで終わりではなかった。
今その場で、はじまったのだ。